妊婦にホットヨガは危険?妊娠中のホットヨガについて医師が解説!

 

【執筆者】ママさん女医 來菜(らいな)

 

育児中のため、医療記事の執筆や監修業務に携わっています。
内科だけでなく、ジェネラルな医学知識を持つ。

 

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ホットヨガとは、気温38度、湿度65%の高温多湿の環境で行うヨガのことです。
これは汗をかきやすく筋肉が最も柔らかくなる環境で、ヨガの効果を高めてくれることが期待されています。

 

しかし、ホットヨガは間違った方法で行ったり、体調がすぐれないのに無理して行ったりすると思わぬ副作用が生じることもあります。

 

妊娠中の運動はヨガが最適だと聞いたことはありますか?
今では妊婦も安産のために積極的に運動するべきだとの見方もあり、多くの産院でマタニティヨガ教室が行われています。

 

妊娠前からやっていたホットヨガを続けようと思っている人や、より高い効果を期待して新たにホットヨガを始めようと思っている妊婦のみなさん。ここでは、ホットヨガは妊婦でも安全に行えるのか、ホットヨガの特徴と妊娠中の体の変化を交えて詳しく解説します。

 

 

ホットヨガの特徴

 

ホットヨガは常温ヨガよりも汗をかきやすく、より高いダイエット効果が期待されます。
また、汗とともに老廃物の排出が促されるので新陳代謝の改善や、全身の血行が良くなることで冷え性や肩こり、腰痛にも効果があります。

 

体を温めて、汗をたくさんかくことで常温ヨガよりも高い健康増進効果を得る!というのは理にかなっています。
しかし、ホットヨガにはその特徴ゆえに気を付けなければならないことがたくさんあるのです。

 

高温多湿でのヨガ

ホットヨガは、高温多湿の環境で行います。気温は38度前後に設定されていることが多く、この気温は真夏に35度以上で運動を控えるように注意されるものよりも高温です。
さらに、湿度も高いため、汗が蒸発しやすく、体に熱がこもりやすくなります。

 

ホットヨガではこまめな水分補給が非常に大切ですが、特に初心者はヨガの動きに夢中になってしまうあまり、十分な水分を摂らずに脱水になってしまう人もいます。

 

また、自分の限界を知らないために辛くてもヨガを続けてしまい、熱中症になる人もいるのです。
熱中症になると、頭痛や吐き気、めまいなどの症状が生じ、重症な場合には入院治療が必要になることもあります。


 

ホットヨガで大切なことは、こまめな水分補給と、体が限界に近付いたらヨガを中止して涼しい場所に移動し、体にこもった熱を発散することです。

 

常温ヨガよりハードな動き

ホットヨガは、胸式呼吸と腹式呼吸を繰り返しながら、ストレッチ効果の高いポーズを取るものです。
非常にゆったりした動きで、常温ヨガの運動量よりも少なく感じる人もいるかも知れません。

 

しかし、ホットヨガのポーズは普段使わない筋肉を非常によく使います。
あまり使っていない筋肉のストレッチはとてもハードなものです。
ですから、実はホットヨガは常温ヨガよりもハードなことが多いのです。

 

また、カロリー消費もホットヨガは常温ヨガの1.5倍と言われています。

 

ホットヨガのここが危険!妊娠中の体に悪影響

 

妊娠中はお腹の中で赤ちゃんを育てますから、様々な体調変化が現れます。

 

妊娠初期にはつわりがあり、つわりが治まっても切迫流産や早産の危険は誰にでもあります。
また、お腹が大きくなることで体形が変化して腰痛に悩まされる人も多いでしょう。

 

体の中では、ホルモンバランスの変化や、血液量が増えることで相対的な貧血になることもあります。
では、ホットヨガは、このような妊娠中の体にどのように影響するのでしょうか?

 

妊娠中は脱水になりやすい

妊娠中は、赤ちゃんにたくさんの栄養や酸素を届けるために、体の中の血液量が多くなります。
これは、妊娠中に増えるプロゲステロンというホルモンの働きによって、体に水分が多く蓄えられることによります。

 

妊娠中には体の水分が増えますが、これは妊娠中の体に通常よりも多くの水分が必要だからです。
ですから、妊娠中に大量の汗をかくと容易に脱水状態となるのです。

 

また、妊娠初期には多くの人がつわりを経験します。
つわりは食欲低下や嘔吐によって元々脱水になりやすいもの。

 

さらに脱水が悪化すると、重症な妊娠悪阻になって入院治療が必要になることもあります。
ですから、なるべくなら脱水にならないような生活を心がけた方がよいでしょう。

 

ホットヨガは健康な人でも脱水になりやすいものです。妊娠中はさらに脱水の危険が高まるでしょう。
妊娠中は、出産に備えて血液が固まりやすくなっており、血栓症のリスクが上がります。
脱水はそのリスクを更に高めてしまう危険性があるので注意が必要なのです。


 

妊娠中は汗をかきにくくなる

妊娠中はホルモンバランスが乱れ、自律神経のバランスが失われやすくなります。
自律神経は、汗の分泌に深く関与しており、自律神経のバランスが崩れると汗をかきにくくなることがあります。

 

汗をかくことは、体温調節で非常に重要なことであり、ホットヨガでは高温多湿の環境でも、大量の汗をかくことで体にたまった熱を発散させているのです。
しかし、十分な汗をかけない状態が続くと、熱は体にたまる一方です。

 

体に熱がたまると熱中症になり、様々な症状が現れます。
特に自分では気づかない間に急速に熱中症になった場合には、激しいめまいや意識消失が起こることがあります。
妊娠中の転倒はお腹を強打する可能性があるので避けなければなりせん。

 

さらに、熱中症では体が酸素不足になっていることが多く、お母さんの酸素不足は、直接赤ちゃんへのダメージにもなります。

 

お腹に力が入りやすくなる

妊娠中は週数が経つにつれ、お腹がどんどん大きくなります。
子宮は筋肉でできていて、出産前は伸びやすく弛緩した状態です。
そして出産を迎える頃には、赤ちゃんを押し出そうとしてきつく収縮します。

 

通常でしたら、このような子宮の収縮は出産前に起こることはほとんどありません。
しかし、中には出産前に強い子宮収縮を起こしてしまう人がいますが、出産前の子宮収縮は流産や早産の原因となります。
また、子宮が収縮することで赤ちゃんのスペースが奪われて苦しい思いをさせてしまうことにもなるのです。

 

ホットヨガの腹式呼吸は、下腹部に圧を与えます。
また、腹圧がかかるポーズも多く、それによって子宮収縮が促されてしまうことがあるので注意が必要です。


 

妊娠中ならホットヨガよりマタニティヨガ

 

では、妊娠中に行えるマタニティヨガとはどのようなものなのでしょうか?
その特徴と利点をみてみましょう。

 

ゆったり自分のペースで体をほぐす

マタニティヨガの最大の特徴は、ゆったりとした呼吸で脱力をするように普段使わない筋肉をほぐすことです。

 

もちろん、腹圧がかからないようなメニューが取り入れられていますので安心です。
周りは皆妊婦ですから、遠慮せずに自分のペースを大切にしながら行うことができます。

 

出産にそなえる体力づくり

マタニティヨガは特に骨盤回りの筋肉をほぐす動きが多く、安産を目指す効果もあります。
出産時には普段使っていないような思わぬ筋肉を酷使することがあります。
マタニティヨガは妊婦さんのために作られたプログラムで、このような筋肉を意識的に使って、出産に備えることができるのです。

 

ホットヨガはいつから再開する?

 

妊娠中には控えていたホットヨガ。
妊娠中に太ってしまったから、産後に再開したい!という人もいるでしょう。

 

しかし、産後も体は妊娠前に戻るのには時間がかかります。
では、ホットヨガは産後いつから再開できるのでしょうか?

 

出産を終えると、お母さんのホルモンバランスは大幅に変化します。
その結果、新陳代謝が悪化したり、自律神経が乱れやすくなることがあります。

 

また、出産時には赤ちゃんの頭が狭い骨盤を通りますから、骨盤は開いた状態となります。
ここで無理に運動をすると、腰痛などの思わぬ症状が現れることもあります。

 

特に産後間もなくは、疲労がたまっている状態ですからゆっくり休むことが大切です。
出産後の体の変化は大体2か月もすれば妊娠前の状態に近くなります。

 

ホットヨガを再開するのは産後2か月目以降がよいでしょう。

 

ただし、出産後1年間は授乳や睡眠不足で、お母さんは体調変化を来たしやすくなります。
ですから、無理のない範囲で行うことを心がけましょう。


 

まとめ

ホットヨガはダイエットや美容に優れた効果がありますが、妊娠中は思わぬ副作用を生じることがあるので避けた方がよいでしょう。
妊娠中にはマタニティヨガが安全に行えます。
無理をせず、しっかりと体を整えて出産という大仕事に備えて下さい。

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